日頃、会社生活では、同僚が仕事以外でどんな才能をお持ちなのか、中々分らないものである。ご近所の佐島さん(仮名)が、かなりの文才をお持ちであるということは、会社を離れて初めて知った。

佐島さんは“綾小路”というペンネームを持った列記とした作家である。

確かそう言えば、数年前、奥様から「こんど主人が本を出版するので、買って下さいね」と言われたような気がする。その時は、“どうせ会社員の余技だろう”くらいに思って、すっかり忘れてしまっていた。

会社退職後、OB会の世話役をされている佐島さんのお宅に初めてお邪魔した。話している内に、小説の話題になり、サイン入りで著書を頂くことになった。

翌日早速、「“綾小路”名サイン入りの本」がポストに入れられていた。「ようらんの記(近代文芸社)」という215ページに及ぶ大作である。

しかも、サインの他に、“ご感想をお聞かせ頂ければ有難いです”と紙が挟んであった。

私は、小学校の頃から“読後感想文”は苦手である。手付かずのまま、何日も過ぎてしまったが、余り放って置くわけもいかず、少しずつ読んでいくことにした。

1ヶ月後、やっと「A4」1枚の“読後感想文”を書き終えて、佐島さんに届けた。

「ようらんの記」は、読んでみると、中々の力作である。又、発想がユニークなのである。
性と愛の描写が非常に多く、しかも表現が巧みである。

「大戦前後の京都を舞台に、幼い主人公の少年が、感情の趣くまま年若い叔母と一夜の契りを交わすが、実は、血のつながりのある子孫を残すための大人たちの企みだった」と言うものである。

大学の友人達からは、渡辺淳一ばりのエロス(性愛)文学などと揶揄されているらしいが、本人は純文学だと反論して、云わば文学論争になっているのだという。

佐島さんは、絵画も巧みである。OB会の展示会にも多くの作品を出されている.
しかし、作品を見ると、艶かしい裸婦の絵が非常に多い。やはり著書がエロス(性愛)文学と揶揄されるれるだけの雰囲気は漂わせているのではないかと思われる。

佐島さんも、今はOB会の支部長の身。忙しい日々が続いているが、一息ついたら、純文学作家(自称)の本領発揮で、又、大作をものにして下さい。“読後感想文”なら、いつでも書かせて貰いますよ。

”エロス文学か純文学か”の文学論争
になっている佐島さんの著書
及び 添えられていたメモ




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