昨年、思い立って“やわらかエッセイ「山陰散策の旅」”をホームページに掲載したが、思わぬ反響があった。今考えてみると、日頃、会議で厳しい論議を戦わせている友人達の、旅でのリラックスした姿が、対照的で面白かったのではないかと思う。

9月中旬、関東の電機メーカーM社の友人河島さんから、又、お誘いの電子メールが入った。
「*今年も成り行き予算による成り行き珍道中の時期になりました。現在は、T社の高林氏、S社の土田氏、V社の元木氏、河島まではほぼメンバーが決定しております。貴兄はいかがですか??ホテル、車等の手配に影響しますので!!まずは貴兄の“ご決断”をお聞かせください。(友人名は全て仮名)」

今年は、業界の総会(会議・見学会)が田沢湖畔であるので、総会終了後、車で秋田から男鹿半島を目指す計画だという。やはり、思いつくまま・気の向くままの気楽な旅をしようというものだった。昨年、ホームページに旅の模様を書き過ぎたので、今年はお声が掛かるかなと少し気にしていたが、忘れずに誘ってくれた。勿論OK、喜んで参加することにした。

第1日目(木)/業界総会・会議。天気は快晴。
新大阪からのぞみ2号。折角5時起きして乗ったのに、新横浜付近の先発こだま号のトラブルで東京着が1時間遅れる。仕方なく、東京発1時間遅れのこまち11号で田沢湖着。最初からトラブルに巻き込まれたが、これで今回の旅の厄落としができれば良いがと祈念。

会議場で業界の仲間と再会、少し遅れたが客員として会議に出席。久し振りに最新の業界動向を聞く。景気回復が未だのせいか、参加者が例年より10名前後少ないのが寂しい。気が付けば、T社の高林さんの顔が見えない。お母様のご容態が急に悪くなり、参加できなくなったとか。“軽妙な洒落と笑い”が売りの高林さんが旅に同行できないのは残念である。


第2日目(金)/業界総会・見学会。天気は快晴。
朝食後、業界の見学会へ。バスで田沢湖から見学先の角館へと移動。途中、東北の耶馬溪と呼ばれる抱返り渓谷を経由。移動中、今回が最初の乗車とかいう新人バスガイドさんが、盛んに「秋田弁」の講義。紙を見せては、これは何ですか。“ねまる”⇒“座る”とか。

抱返り渓谷の回顧(みかえり)の滝


関東と関西は、雨や曇りがちだというのに、秋田は快晴である。角館での見学会終了後、ほっと一息ついていると、過去の総会での天気が話題になる。
河島氏「かつては、総会の度に雨が降った。連日渇水続きの松山の時も、その日だけ、まさかの土砂降りだった。事務局に雨女が居たからです。」
・・JTB新人女性ガイド「今の田山さんはどうなんですか。」
佐藤  「だから、お願いして代えてもらったんです。それから、お天気続きです。」
・・JTB新人女性ガイド「そう〜なんですか〜。」・・・妙に感心して、納得した。

見学会も終わり、関東や関西方面へ帰る皆さんのために、JR角館駅−JR横手駅−秋田空港−JR秋田駅とバスを回してもらう。

珍道中は明日からにして、今日は秋田市で宿泊。ホテルまでのタクシーを拾う。

土田氏、タクシーに乗るや否や運転手と得意の“女と食べ物”談義。
土田氏「運転手さん、この辺では1本幾らなの。男鹿温泉はどうなの。」
運転手「んだ、男鹿温泉だば、やっすで。(安い)」
    注:1本女性を1人呼ぶ値段(土田氏曰く)
土田氏「秋田で”きりたんぽ”の一番美味い店は何処なの。」
運転手「それだば、濱の家だ。」

竿灯(祭り)大通りに面したアキタスカイホテル着。暫し休憩後、タクシー運転手推奨の“きりたんぽの濱の家(料亭が隣接)”へ行く。先ずは、旅の安全を祈念して乾杯。 ササニシキが原料の“きりたんぽ”も評判通り絶品であったが、“地酒(平泉)とガッコ(漬物)”がこれまた合っていて美味い。今回は、秋田の食文化に、はまりそうである。

第3日目(土)/秋田〜鷹巣〜能代〜男鹿、天気は薄曇り後晴れ。
8時ホテルをチェックアウト。駅前の食堂でゆっくりと朝食。

9時 レンタカーを借りる。運転手は、昨年同様土田氏。今回は、名ナビゲーター高林氏がいない。“元木さん(新たに参加)、代わりを頼みますよ”と言うと、一言“私はできない”。幸いカーナビが付いていた。今回は、臨機応変な道行きとは行かなそう。

秋田市を出て、一路285号線〜105号線と辿り、秋田内陸部の鷹巣町へ。途中目ぼしい見ものは何も無い。殆ど後続車・対向車に出会わない山の中の一本道をひた走る。途中、道の駅しょうわ に立ち寄り、鮭の干物を買って食べる。

「午後は、元木さんの運転ですよ」と言うと、「まかせておけ」。「運転手は、昼飯がビール抜きだよ」と言うと、「佐藤さんは、わざと免許証を忘れてきたな」等と悔しがることしきり。河島氏「貴方は、読みが浅いんだよ」とばっさり。

鷹巣駅前に車を駐車、昼食場所を探す。土地の人が薦めてくれた創作郷土料理“米澤屋”へ。女将推奨の比内地鶏のつみれ鍋を頼む。土田氏、午後からも運転すると言う。何故か今日は遠慮がち。元木氏、大いに喜び、直ぐ地酒(慌てて“亀の舞”を“鶴の舞”と間違う)とガッコを頼む。“茄子のつけもの”と“亀の舞”の取り合わせが何とも言えず、絶品。最後に雑炊。又々、秋田の食にはまる。

食後の散策に、少し歩いて鷹栖町の“たかのす風土館”で歴史展示物、次いで、“大太鼓の館”でギネス認定の大太鼓を見る。大太鼓は、直径3.71m、長さ4.32mとか。

7号線を海へと向って能代へ。途中、高台に登り、夕暮れの米代川と能代の町並みを見る。次に、風の松原に寄る。浜風の影響で、松が全て陸地方向に傾いている。更に7号線を下り、八郎潟干拓地を通って、男鹿温泉郷へ。

午後5時頃、明るい内に男鹿温泉セイコーグランドホテルに到着。
女将が、挨拶に来る。

早速土田氏、コンパニオンの交渉。「1人幾らなの」に続き、「じゃあ、2人」
女将「2人も頼む人はいない」
土田氏暫く考え、「じゃあ、止めた」

今回の土田氏は、何時もの元気が無い。高林氏がいない影響か。

食事の前に、先ずは、温泉につかる。思えば、田沢湖(第1日目)、秋田(第2日目)と大浴場が無かった。やっと、ゆったりした旅行気分に浸ることが出来た。

午後7時 ホテルの小座敷「福寿亭」で、新鮮な海の幸と地酒で夕食。運転手さんご苦労さん。先ず、土田氏に大いに飲んでもらう。久し振りに、酒と食事で満腹状態となる。
午後8時頃、ホテル名物磯焼き(石焼)料理の実演。魚とネギの入った鍋に、赤く焼けた石を直接入れる豪快な料理。京風の薄い味噌味。

午後9時過ぎ、温泉街へ。女将手配の“からおけクラブ”にいく。名前は、何と“姫”とか。空いてる店を頼むと言ったせいか、マスターしかいない。20分程して、やっとママ到着。この店は、客を見てからママを呼ぶのか。聞けば、ママもマスターも漁師兼業とか。1人5,000円歌い放題・飲み放題で交渉成立。ママ、やたらと男鹿弁で喋りまくる。結局、終わりまで我々以外は客無し。4人で、飽きるまで飲んで歌う。

第4日目(日)/男鹿半島一周〜秋田、帰路へ。天気は快晴。
睡眠も十分に取れ、元気回復。ゆっくりと朝食をとり、9時、セイコーグランドホテル出発。今日も、天気は快晴。隣県の山形県以南は雨だと言うのに、この旅は何と天気に恵まれていることか。

今日は、男鹿半島を海岸沿いに1周することとなった。先ず、男鹿半島最北端の入道崎に向う。北緯40°を示すモニュメントを見る。“岩海苔婆あ”が寄ってきて、盛んに“おみやげの岩海苔”を勧める。

北緯40°を示すモニュメント



男鹿半島を1/3ほど廻り、男鹿水族館を過ぎた頃、突如通行止め。昨夜、土砂崩れがあったのだという。海岸沿い1周を諦め、戻って半島横断のなまはげラインに切り替える。途中、男鹿真山伝承館に寄る。迫力満点の“なまはげ”の実演を見る。


男鹿半島、真山地区の“なまはげ”の実演




12時頃、男鹿市中心の男鹿駅に着く。案内所で“新鮮な魚介類を食べたい”というと、“椿の一力屋”が良いとのこと。海岸沿いに逆周りで戻ると、一見“つり宿風食堂”。主人が今朝採ってきたという魚の“じゃっぱ汁”を食べる。魚を丸ごとぶつ切りし、味噌で煮ただけの素朴で荒っぽい料理であるが新鮮で美味い。魚のトゲに注意して食べる。昼食後、昨日ホテルで予約してもらった秋田空港へ。午後3時頃到着。私はここで降り、他のメンバーは秋田駅へ。

3泊4日、好天に恵まれた「”地酒とガッコ(漬物)ときりたんぽ”の秋田男鹿の旅」だった。例年参加している高林氏がいないのが少し残念だったが、今年も素晴らしい旅に誘ってくれてほんとに有難う。
(H14.10.17〜20)



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