松の内が過ぎたとは言え、未だ正月気分が抜けない1月12日、さて今年はどう過ごそうかなどと1年の計に頭をめぐらしていると、旧い先輩から電話を頂いた。

鉄本「もしもし、佐藤君。鉄本です。」
佐藤「あぁ! 鉄本さん。おめでとうございます。」
鉄本「それが、めでたく無いんや。」
佐藤「え!」
鉄本「実は、親戚に不幸があったんや。」

佐藤「・・・」
鉄本「そいでぇ。幹事出来ないんや。」

実は、昨年立ち上げた職場のOB・OG会の幹事を、私が2年間引き受けているが、今年度の懇親会開催の案内状には、特に会長の推薦もあって、“来年度及び再来年度の2年間は鉄本氏(仮名)に幹事をお願いする旨”追記してあった。

佐藤「そいでって、未だ来年のことじゃないですか。それに、幹事は2人いるし。」
鉄本「実は、椎間板ヘルニアで3ヶ月間入院したんや。」
佐藤「椎間板ヘルニアって、ぎっくり腰でしょう。手と口さえ動けば出来ますよ。
・・・・・ ・・それに、鉄本さんは、会長の推薦もあるし。」
鉄本「ほなら、会長に電話しておくわ。」

OB・OG会といっても20数名の小人数であり、しかも懇親会の場所も実施時期もほぼ毎年決まっている。年1回懇親会の案内状を出すのと場所の電話予約をするのが役目の幹事が、それほど大変なこととは思えなかった。

3日後、鉄本氏から“今年は出席できない”との返信(葉書)があり、会長に電話した旨追記してあった。
・・ 幹事推薦の件は辞退させていただきたく思いますのでよろしくお願い致します。
・ ?(会長様には、1/13(月)電話をして心情を話させていただきました。)

会長に心情を話さなければならない程、そんな大袈裟なことかなと思いつつ電話をとった。

佐藤「もしもし、鉄本さん。葉書、拝見しました。会長に、電話されたんですか。」
鉄本「会長は、“分った。ただ、OB・OG会には、必ず顔出せよ。”と言ってた。」

しつこいと思いつつ、更に聞いてみた。

佐藤「鉄本さん。本当の理由は、一体何なんですか!」
鉄本「実は、家に泥棒に入られたんや。160万円盗られてショックなんや。」

いよいよ分らなくなり、やけ気味で言った。

佐藤「今までの理由では、OB・OG会の皆さんも納得しないのではないですか。
・・・・本当の理由は、例えば“顔を合わせたくない人がいる”とか
・・・・“奥様と旅行する日程と毎年重なる”とかじゃないですか。」


・・・−− 実は、昨年“既に奥様との海外旅行の日程が決まっている”
・・・・・ との理由で欠席された。


鉄本「顔を合わせたくない人はいないんや。実は、家内が働いてるんや。」

あくまでも続く禅問答に、釈然としない気持ちで、理由不明のまま、鉄本氏に幹事をお願いするのを諦めた。

そう言えば、現役時代、鉄本先輩に仕事の心得を聞いたことを思い出した。

・・“佐藤君。営業の心得は、断わり方なんや。ズバリ、言ってはいかん。
・・・・婉曲に断わるのがこつなんや。”

言いそびれたが、できれば最後に聞いてみたかった。

・・「鉄本さん。そんな断わり方で、営業の時は本当にうまくいってたんですか!」



鉄本氏からのOB・OG会欠席の返信(葉書)
- [今年も、奥様と旅行か?]
(黄色文字は、私が記入した仮の名称・番号)











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