リップサービス

昨年4月、市の広報レポーターになってから10月余りが過ぎたが、一つ、気になることがある。

日頃、気楽に付き合っている人であっても、いざカメラを向けてインタビューしだすと、急に身構える。しかも、何かリップサービスをしなければならないと思うらしい。

先日も、野点(のだて)の茶会を主催している知り合いの 白山 市会議員(仮名)に話を聞いた。

「白山さん、今日の参加者は何人ぐらいになりそうですか」
「ハイキングの途中で立ち寄ってくれる人もいるので、多分350名から400名くらいにはなると思います」

茶会も半ばを過ぎて、取材の帰りに、念のため 受付けで参加人数を確認すると現在80名くらいだという。
幾ら何でも、今後100名以上増えることは無いと思うのだが、多分
記事に対するリップサービスのつもりで、多めに言ったのだろうと思われた。

しかし、考えてみると、他人(ひと)のことを とやかく言うことは出来ない。

大分 前の話になるが、実は、私もテレビ取材を受けた経験がある。

東京・大手町の東商ビルで開催された会議に、大阪から出席して、昼食のために外にでた。
丁度、“丸の内に勤務するサラリーマンの昼食事情”について取材中の フジテレビのクルーにつかまった。
カバンも上着も会議室に置いて、ワイシャツ姿で社員通用門から出てきた私を見て、てっきり
このビルに勤務していると勘違いしたらしい。

取材を断わり、足早に昼食に向かう人が多かったが、私は時間も有ったし、気軽にリップサービスのつもりで対応することにした。

フジTV「昼食は、いつもどこで食べていますか」
 「はい、いつも隣の国際ビルの地下食堂街で食べています。(実際は、大阪の会社の社員食堂で食べている)」

・・・・・

フジTV「どちらから、通勤されていますか」
 「はい、横浜から1時間です。(実際は、大阪の交野市から今朝の新幹線で来た)」

取材が終ってから、少し言い過ぎたかなとも思ったが、東京のテレビでもあるし、どうせ、ボツになる(放送されない)だろうと思い、気にも留めなかった。

ところがである。翌日 大阪の会社に出勤して驚いた。 友人の井下さん(仮名)曰く。

「佐藤さん、テレビで見たよ!」

東京でのテレビ取材なので まさかと思ったが、系列の関西テレビの“夜のニュース”に出ていたらしい。

恐る恐る、内容を聞いてみた。
レポーターの誘導質問に対して、真面目な顔で「そう思います」と答えていたと言う。
“国際ビルで食事”だの“横浜から通勤”だのという話は無かったとのことなので、ほっとした。

その日、家に帰って 家族に話したら、すっかり呆(あき)れられてしまった。

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(カメラを向けられると、つい身構えてしまいます)



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