会社保養所


 昭和年代以前に設立された会社では、社員の福祉施設として国内各地に保養所を保有している社が多い。

私が勤務していた会社でも、事業所や営業所がある北海道から九州まで多くの保養所があった。

 しかし、平成に入ってからの長い景気低迷に加えて、健康保険法改正による事業者負担増加などにより、会社の福祉費用削減のために、最近、近畿・関東地区以外は全て閉鎖してしまった。

実は、私が退職したら“全ての保養所を廻ろう”と家内と口約束していた。

結局、退職直後に四国と九州の保養所に車で行ったきりであり、“直ぐに行かないから、閉鎖で行けなくなってしまった”などと、今も責められることしきりである。


 11月半ば、家内の中学校同期会が那須のホテルで開催されるとかで、そのついでに、同期会の翌日、閉鎖を免れた那須の保養所に二人で宿泊することにした。

 那須塩原駅で家内と待ち合わせ、昼過ぎの新幹線を降りると、程なく保養所の送迎バスが迎えに来てくれた。 紅葉のシーズンを過ぎて客も少ないらしく、今日は「佐藤さんの貸切バスです」とのことだった。

 定員62名の那須保養所で、本日の宿泊者は、他には自家用車で来ている夫婦2組だけだった。

    
       (那須の保養所−パンフレットより)


 保養所に着いても、手持ち無沙汰なので、受付で散歩用近隣マップをもらい、保養所の近所を小一時間歩いてみた。

周囲は、企業の保養所と個人の別荘地であったが、閑散としており、晩秋の夕暮れ時をいっそう侘しくしていた。 単にシーズンオフというだけでなく、閉鎖された保養所や別荘も少なくないように思われた。

    
    (保養所から眺めた晩秋・夕暮れの那須高原)


翌日は、天気予報に反して予想外の快晴。 那須高原周遊観光の予定を、急に変えて、那須岳(茶臼岳)に登ることにした。

 朝9時、保養所の送迎バスで那須湯本まで送ってもらい、そこから路線バスとロープウェイを乗り継ぎ、那須岳・ロープウェイ山頂駅(1709m)まで上る。

     
      (ロープウェイ山麓駅より見た那須岳)        (ロープウェイ山頂駅)


山頂駅から那須岳山頂(1940m)に向ったが、晴れているとは云え、強い風が吹きつける岩と砂礫の山を、ブレザーと革靴と旅行鞄姿では歩きにくく、20分ほど登ってあきらめた。 家内はと云えば、2時間ほどかけて、那須岳山頂まで登ってきた。

    
    (那須岳山頂へ向う人達−殆どの人は途中まで)


午後1時過ぎに那須岳を下りて、ロープウェイ山麓駅の特製山菜そばで昼食を済ました後、路線バス、東北・東海道新幹線を経由して、大阪までの帰路に着いた。

今回の旅は、紅葉シーズンを少し過ぎたとは云え、那須高原の晩秋の風情と那須岳の綺麗な山並みと保養所でのゆったりした宿泊を楽しむことができて満足であった。

何よりも、保養所巡りの口約束を少しだけ果たすことができたのは良かった。


しかし、最近は旅行各社の国内ツアー企画が目白押しであり、那須高原の旅なども格安な値段で提供されている。

 一方、保養所の宿泊費は一般ホテル並みになってきており、社員であっても必ずしも安い値段で宿泊できるとは限らなくなってきた。

 これらを考えると、会社が保養所や福祉施設を使って社員に安価な宿泊・娯楽・旅を提供するする時代も終わりつつあるのかも知れないと思った。

   (H19.11.1415)



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